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読書感想:ラヴクラフト全集1

4488523013ラヴクラフト全集 (1)
H・P・ラヴクラフト

東京創元社 1974-12
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★作者紹介
ハワード・フィリップス・ラヴクラフト(1890年8月20日 - 1937年3月15日)
 
 20世紀初頭の怪奇小説家、詩人。ロードアイランド州のプロヴィデンスに生まれ、ほぼ全ての生涯を愛すべき故郷で過ごします。文通や旅行、甘いもの、猫などが好きだったと言われている。幼い頃にアラビアン・ナイトやグリム童話、ギリシャ・ローマ神話などを愛読し、またエドガー・アラン・ポーやロード・ダンセイニの作品からも影響を受け、また天文学など科学の面にも秀でていました。ハイスクールを神経症で退学したのち、文章添削の仕事を続けていましたが、23年に怪奇小説専門のパルプ雑誌「ウィアード・テイルズ」にて「ダゴン」という短編が掲載されました。以後37年に癌で没するまで、共通の世界観を持った幻想怪奇小説を産み出し続けました。

 また、特筆すべきなのは、自作において、彼が創作した邪神、怪物、魔術書を何度も繰り返し登場させたことです。また、そうした世界観は他の作家がを自作に取り込んだり(今風に言うとシェアワールドとでも言うべきか)、アイディアを交わしたりして、膨らんでいきました。これが彼の死後、いわゆる≪クトゥルフ神話≫として形成されて行ったのです。詳しくは次項で説明します。


★クトゥルフ(クトゥルー)神話

 ラヴクラフトの「コズミックホラー」と呼ばれる作品群に共通するのは、「太古の地球を支配していた邪神が現代において影響をおよぼし、その前に人間は苦悩と絶望を味わう」といったモチーフでした。
 
 ですが、そうした作品を今で言う≪クトゥルフ神話≫として体系付けたのは、実はラヴクラフト当人ではありません。その成立過程には特殊な事情があり、その説明から本題に入っていきたいと思います。

 ラヴクラフトは「ウィアードテイルズ」では有名な作家となりましたが、結局彼は生前は作品を正当に評価されることはありませんでした。そこで、彼の作品を世に知らしめようとしたのが彼の弟子といえるオーガスト・ダーレスでした。彼は≪アーカム・ハウス≫という出版社を設立し、ラヴクラフトの著作を次々と刊行したのでした。彼は、ラヴクラフトが残したメモを元に作品を書き、その神話を体系付けたことで有名です。余談になりますが、彼はその神話体系を成立させる際に、もともとはなかったと思われる、善神と邪神の対立という構図を持ち込んだことが後々、≪クトゥルフ神話≫とラヴクラフトの残した原神話との摩擦を起こすことになるのですが、そのことはここでは割愛しておきます。

 ダーレスが体系づけた≪クトゥルフ神話≫はフォロワーが作品を残し、様々なエピソードが追加されることになりました。そういった作家には、「コナン」シリーズで有名なロバート・E・ハワード、ヒッチコックによる映画化で有名な「サイコ」の原作者、ロバート・ブロック、ヒロイックファンタジーで有名な「ファファード&グレイ・マウザー」シリーズのフリッツ・ライバーなどがいます。また、ラヴクラフトに影響を受けた作家として、スティーヴン・キングやコリン・ウィルソンという現役のホラー作家もいます。

 また、日本においてもその影響は強く、作家では菊池秀行や栗本薫、小林泰三、朝松健などが作中でそうしたエッセンスや設定を取り入れています。

 また、マンガやゲームなどにも神話特有の固有名詞が取り入れられました。もっとも、本格的に≪クトゥルフ神話≫に属すると断言できる作品は極めて少数ですが。

★あらすじ

「インスマウスの影」"The Shadow Over Innsmouth" 1931
ひょんなことから、不気味な町、インスマウスに立ち寄った主人公だが、その町は気味の悪い住人達、妖しげな宗教が蠢く不吉な場所だった。そこで主人公は身の毛もよだつ体験をするのだった。

「壁の中の鼠」"The Rate in the Walls" 1923
崩壊した館を買い取った男が地下から鼠の気配を感じ、地下室にもぐってみるのだが……

「死体安置所にて」"In the Vault" 1925
無神経な葬儀屋が安置所に閉じ込められ、そこから脱出するために棺を積みあげることを思いつくのだが……

「闇に囁くもの」 "The Whisperer in Darkness" 1930
奇妙な生き物の死体の発見に興味を持つ主人公の下にエイクリーという名の男から信じられない内容の手紙が届く……


★感想

「インスマウスの影」
実はラヴクラフトの作品では非常にプロットが明快であり、ホラー小説としての恐怖の盛り上げ方もある程度常識的だと思われます。よって、氏の作品を読みはじめるにはちょうど良いのではないでしょうか。

ふと寄った町が思いのほか奇妙で、後半の町からの脱出に至るまで、徐々に恐怖が盛り上がるのは秀逸だと思います。また、狂人の描写がとてもおそろしく、老人の語りが実に印象的です。そりゃあ、誰でも突然わけのわからないことを言われたら――イア! イア!――、「可哀想に」と思ってしまうのかもしれないですが、この時はまだ主人公は冷静に老人を観察してたといえます。それが次第にわけのわからない恐怖が増幅していき、とうとう主人公は知ってはいけないことを知ってしまい、最終的には「こちら側」からはみ出してしまうまでのくだりが実に狂気に満ちています。やはり、クトゥルフモノの醍醐味は見てはいけないもの知ってはいけないものを見たり知ったりしてしまい、後戻りできなくなるという点でしょう。特に本作のラストの描き方は実に奇妙な味わいであり、凶々しい光景が浮かんでくるような尾を引く終わり方です。お話としてのおもしろさという点をきっちり抑えているという点で評価に足る作品ではないでしょうか。

「壁の中の鼠」

 神経症のラヴクラフトらしい作品というべきでしょうか。ちょっとした不安がだんだんと膨らんでいき、狂気の発露にいたる。実にシンプルな短編ですがが、気になる点が二点。ひとつはことさらにローマ時代に関連した小道具などで仕立てられていること、呪われた血族というモチーフが使われていること。前者はゴシック的怖さというのか古いものに対する恐怖感とでも言うものでしょうか、正直あまりピンとこなかったです。後者は「インスマウス~」と同様のモチーフ。プロットというかラストのオチもほとんど同じ形でしょう。コズミックホラーではありませんが(わずかにニャルラトホテプの記述があるのみ)聴覚による恐怖、地下室の恐怖(闇に対する恐怖)などでうんざりさせられたあとにハッとするラストが来るのは後味が悪
い。なにかヘンなものが出てくるわけではないが気持ち悪い作品。そういう意味では成功しているのかも?
あまり印象には残りませんが。
 余談ですが、御大(ラヴクラフト)の好きな猫が登場。退屈になりがちなストーリィに若干の味付けをしています。

「死体安置所にて」
全然クトゥルフモノじゃない異色作。ブラックジョーク的なオチが御大の作品としては珍しいです。怪談や都市伝説風のオチなので、軽く読むにはいいかもしれないですね。
ただ、やはり自分が好きなのはコズミックホラーなんだなと思いました。

「闇に囁くもの」
「じっさい目に見える恐ろしいものは、結局何一つ見なかったのだということを、心によく銘記していただきたい」という出だしが全てを言い表しているといっても過言ではない。正調コズミックホラーといえるであろう作品ですが、バーンと気持ちの悪いものがでるのではなく、状況や手紙などから読者の想像をたくましくさせ、名状しがたき恐怖を味あわさせるという企みが上手くいっているのではないでしょうか。ただ、ことさらに冗長な点は読みづらさがあるし、いちいち訳のわからないことを噛み砕いて理解しながら読みすすめようとするとストレスがたまりそうです。ですが、そのしつこい形容が全体の不吉なイメージを作り上げるのに貢献していると私は見ています。
 
 個人的には読者を置き去りにしてぶっ飛びまくるエイクリーの手紙や、不気味なあの金属の円筒形、そしてラストに残されるアレなどが大好きでたまらない。エイクリーの書き記したことは大体≪クトゥルフ神話≫に組み込まれているので、そちらサイドを知っている方はこれが一体どういうことなのか理解できるのだがその分衝撃も少ないに違いない。やはり初見のときの、何がなんだかわからないという収まりの悪い恐怖がコズミックホラーの真骨頂でしょう。プロットからみればそうした邪神だとか宇宙人がどうしたかなどは結局、オチに持っていくまでの味付けに過ぎないのですが、結局ラヴクラフトや≪クトゥルフ神話≫のおもしろいところはそうした味付けとか雰囲気作りに特徴的にあらわれているのでしょう。

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2005/05/17   小説感想     TB-1   C-0

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Deep Ones 15/07/2005

ラヴクラフト全集 (1)子供の頃、クトゥルーの呼び声というゲームを友達の家で遊びましてそれ以来ラブクラフト・ラヴ状態です。スティーブンキングがホラーというジャンルの作家になる際に受けた忠告は「ホラーを書い...

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07/15 Deep Ones


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